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サウナハットは必要?|効果の根拠と素材、タオルで代用する考え方

サウナハットは必要?|効果の根拠と素材、タオルで代用する考え方
天井勝太郎
2026年10月31日
サウナ室の上の段に腰を下ろしてしばらくすると、肩や背中より先に、頭のてっぺんと耳がじりじり熱くなってきます。ストーブの石が鳴るたびに熱が天井から降りてきて、髪の奥にこもっていく。周りを見ると、フェルトやタオル地の帽子をかぶった人がちらほらいます。

サウナハットは、あったほうがいいのか。なくても困らないのか。効果としてよく挙げられる話をたどると、出典のはっきりしたものは多くありませんでした。

先に結論を書くと、サウナハットは必須の道具ではありません。頭の熱さが気になる人が試してみる道具の一つです。使うかどうかは、施設の決まりと自分の感じ方で決めればよい、というのが編集部の考えです。

この記事では、何のためにかぶるのか(根拠の強さ)、素材の違い、タオルで代用するときの考え方を整理します。最後に、施設のルールの確かめ方をまとめます。商品の紹介はしていません。

サウナハットは必要?|必須ではない道具

サウナハットは、サウナ室でかぶる帽子です。厚手のフェルトやタオルのような生地のものが多く、形もさまざまです。

かぶらなければならない、という公的な基準は見当たりません。消費者庁が2024年6月に出した資料「サウナ浴での事故に注意」には、サウナを安全に使うための注意が並んでいます。ただ、帽子やハットについての記述はありません。

かぶる人が挙げる理由

使う人のあいだでは、頭が熱くなりにくい、と言われることがよくあります。髪に熱が当たるのが気になるから、という声も聞かれます。

ただ、どれも「そう感じる」「そう言われる」という話で、サウナハットで確かめた研究ではありません。どこまで裏づけがあるのかは、次の章で整理します。

サウナハットはいらない? なくても困らない人、あると楽に感じる人

ここからは編集部の考えです。必要かどうかは、次のように分けて考えると迷いにくくなります。

編集部の考え|サウナハットを用意するか迷ったら

  • 頭や耳が先に熱くてつらくなる人は、まずタオルで試してみる
  • 熱さが気にならない人は、無理に用意しなくてよい
  • 通う施設が決まっている人は、持ち込みの決まりを先に確かめる
どの場合も、ハットをかぶったからといって長く入ってよいわけではありません。出るタイミングは、頭の熱さだけでなく、体全体の合図で決めるのが無難です。

サウナハットの効果は?根拠の強さを3段で整理

サウナハットの効果としてよく見かける話を、根拠の強さで3段に分けました。ハットの効果ではない背景の事実、間接的な研究、そしてハットそのものの効果です。
サウナハットの効果を根拠の強さで3段に分けた表。確かめられたものはなく、背景の事実と間接的な研究、出典なしに分かれる
サウナハットの効果を根拠の強さで3段に分けた表。確かめられたものはなく、背景の事実と間接的な研究、出典なしに分かれる

背景の事実|サウナ室は上の段ほど熱い

消費者庁の資料によると、サウナ室の温度は座る位置で違います。温められた空気は上へ昇るため、床からの高さでも温度が変わります。

資料によると、室温100℃のサウナ室では上段が最も高く、中段が70〜80℃、下段が50℃付近です。植田理彦氏の1988年の報告(『サウナ浴』)を引いた調査結果です。消費者庁の資料を通じた引用で、編集部は原典を読んでいません。古い調査なので、いまの施設の温度とは違うこともあるはずです。

サウナ室の温度計は、設置された位置の温度を示すもので、室内全体の温度ではないとも書かれています。
室温100℃のサウナ室の段ごとの温度の図。上段が最も温度が高く、中段は70〜80℃、下段は50℃付近。最初は下段から座る
室温100℃のサウナ室の段ごとの温度の図。上段が最も温度が高く、中段は70〜80℃、下段は50℃付近。最初は下段から座る
段の数や施設によって、段ごとの差は変わります。

座ったとき、体の中でいちばん高い位置にあるのは頭です。頭だけが先に熱く感じるのはこのためかもしれない、というのが編集部の見方です。これは段の温度の話で、ハットの効果を示すものではありません。

間接的な研究|頭や顔を冷やすと楽に感じた

頭や首、顔を冷やす実験では、暑さや疲れの感じ方が楽になったという報告があります。英国の研究者らによる2008年の2本(Eur J Appl Physiol)は、10人と9人の実験です。うち1本は68℃のサウナで頭と顔を冷やし続けています。

中国の研究者らによる2018年の報告(Int J Hyperthermia)は、16人の健康な男性を対象にした実験です。編集部が読んだのは要旨です。

ただし、どれも小規模で、サウナハットを測ったものではありません。頭を「冷やした」実験で、熱を通しにくい帽子を「かぶった」実験ではない点にも注意が要ります。ハットに同じような働きがあるかどうかは、これらの研究からはわかりません。

ハットそのものの効果|のぼせ・髪・素材の差

サウナハットで頭の温度が下がった、のぼせにくくなったと測った研究。素材ごとの違いをサウナで比べた研究。髪の傷みについての基準。どれも、調べた範囲では見つからなかったものです。

よく言われる話でも、裏づけのないものは効果として扱わない。それがこの記事の立場です。かぶると楽に感じる人がいることまでは否定しません。

サウナハットの素材の違い|ウール・フェルト・リネン・タオル地

素材ごとの差は、前の章で触れたとおりです。ここに書くのは、使う人のあいだで一般に言われている、手入れや手ざわりの話です。

素材について一般に言われること

  • ウール・フェルト:厚手でしっかりした生地。乾くまで時間がかかるという声もある
  • リネン(麻):薄手で軽い生地。さらっとした手ざわりを好む人もいる
  • タオル地(綿など):家で洗いやすく、水を含ませて使う人もいる
どれが合うかは、好みや、洗濯の手間をどう考えるかで変わります。

金属の飾りや留め具に気をつける

消費者庁の資料は、身につけている金属製の装飾品やロッカーのカギが、サウナ室で熱くなる可能性があるとしています。資料には、東京都市大学の早坂信哉教授(医師・温泉療法専門医)による注意事項も載っています。そこでも、浴室に入る前に貴金属は外すよう勧めています。カギのバンドは、金属部分が肌に触れないようにします。
資料が挙げているのは、装飾品とカギです。ここからは編集部の提案ですが、帽子に付いた金属の飾りやボタンも、同じように熱くなりうると考えておくのが無難でしょう。使う前に一度、金属のパーツがないか見ておくと安心です。

家で洗えるかどうかも、素材の一般論より、それぞれの洗濯表示で見るほうが確実です。

サウナハットはタオルで代用できる?

専用のハットがなくても、タオルで頭を覆う人はいます。Tottonouの初心者ガイドでも、持ち物にタオル2枚(体を拭く用と、サウナ室で敷く・頭に巻く用)を挙げています。

タオルがハットと同じように働くかはわかりません。ただ、ハットそのものの効果は、前の章で見たとおり確かめられていません。ここからは編集部の提案ですが、まずタオルで試し、頭の熱さが楽に感じるかを見てから考えても遅くありません。

タオルで代用するときのコツ

決まった使い方はないので、ここに挙げるのは編集部の提案です。

編集部の提案|タオルを頭に使うとき

  • 乾いたタオルを頭にのせるか、軽く巻く
  • 耳まで覆うと、熱さがやわらぐと感じる人もいる
  • 長い髪は、まとめてから覆う
  • 体を拭く用とは分けておくと使いやすい
  • 濡らして使うなら、サウナ室で絞ってよいかなど施設の決まりに従う
タオルの扱いは施設によって違うことがあるので、次の章の確かめ方もあわせて見てみてください。持ち物や基本の流れは『サウナの入り方 初心者ガイド|基本の流れ・時間の目安・つまずき対策』にまとめています。

サウナハットの持ち込みと着用|施設のルールの確かめ方

サウナハットの持ち込みや着用は、施設ごとに決まりが違います。

消費者庁は、サウナの営業施設には利用者の見やすい場所に入浴上の注意事項が掲示されていることが多いとしています。そのルールを守り、安全に使うよう呼びかけています。資料では、掲示の例として次の項目を挙げています。

掲示されている注意事項の例(消費者庁の資料より)

  • 我慢をするなど、無理なサウナ浴は控える
  • コンタクト・メガネ・金属類を外す
  • 可燃物や電子機器類を持ち込まない
  • 段差に注意し、ベンチから飛び降りない
  • サウナストーブや照明など、温度の高い部分に触れない
次は資料にはない、編集部の提案です。ハットについては、こんな順で確かめると迷いにくくなります。
サウナハットの決まりを確かめる3つの手順。公式サイトの利用案内を見る、館内の掲示を見る、迷ったら受付で尋ねる
サウナハットの決まりを確かめる3つの手順。公式サイトの利用案内を見る、館内の掲示を見る、迷ったら受付で尋ねる

サウナハットの決まりの確かめ方(編集部の提案)

  1. 1

    公式サイトの利用案内を見る

    持ち物、貸し出しや販売、館内の決まりのページに目を通しておきます。

  2. 2

    館内の掲示を見る

    脱衣所やサウナ室の入口に、持ち込みや着用の決まりが書かれていないか見ます。

  3. 3

    わからなければ受付で尋ねる

    「サウナ室で帽子をかぶってもいいですか」と一言聞けば、すぐにわかります。

ほかの人がかぶっていても、それが施設の決まりと同じとは限りません。周りの様子は参考程度にしておきます。
ロウリュやアウフグースの時間には、タオルの扱いなど別の決まりが案内されていることもあります。マナー全般は『ロウリュとアウフグースとは|違いと、初めて受けるときのマナー』で触れています。

安全に使うために|ハットがあっても無理はしない

消費者庁によると、事故情報データバンクには2024年4月末時点で、サウナ浴に関する事故情報が78件登録されています。けがの内容では、やけどが31件ともっとも多くなっています。

資料が注意を促しているのは、照明や出入口の扉の窓ガラス、金属製の装飾品やカギなど、高温になった部分によるやけどです。
ここからは編集部の考えです。頭を覆っていても、こうしたやけどが防げるわけではありません。ハットで頭が楽に感じても、それは長く入ってよいという合図ではない、と考えておきたいところです。
座る場所については、資料にある早坂教授の注意事項にも記述があります。1段上がると10℃ほど温度が上がるそうです。そのため、まず下段に座り、体が慣れたら徐々に上段に移るよう勧めています。最初から上段に座ると、急な高温で血圧が急に上がる危険があるそうです。

同じ注意事項では、サウナを避けるべきときや、主治医に確かめてから使うべき人も挙げています。

注意

飲酒後(二日酔いのときも)、食事や運動の直後、体調がすぐれないときは、サウナの利用を避けます。

心臓の病気や高血圧で治療中の人、脳卒中のあとの人、妊娠中の人は、主治医に確かめてから利用します。持病が急に悪くなってきたときも、主治医に確かめてからにします。

入浴前と入浴後にはコップ1〜2杯、入浴中もこまめに水分をとります。サウナ室では下の段から座ります。

浴室に入る前に貴金属などの金属類は外し、ロッカーのカギは金属部分が肌に触れないようにします。サウナ室で体調に異変を感じたら、すぐに周囲の人や施設の従業員に知らせます(消費者庁の資料。早坂信哉教授の注意事項を含む)。

(以下は資料にはない、編集部の補足)
そのほか一般的な安全のために、ハットやタオルで頭が楽に感じても、入る時間は延ばさないようにします。
水分のとり方や、お酒を飲んだ日の注意は『サウナの水分補給|いつ何をどれだけ飲む?前後の食事とお酒の注意』にまとめています。

よくある質問

Q. サウナハットは初心者にも必要ですか?

A. 必須ではありません。かぶるべきという公的な基準は見当たらず、効果の裏づけも限られています。頭の熱さが気になるなら、まずタオルで試してみるのも一つの方法です。

Q. サウナハットをかぶると、のぼせにくくなりますか?

A. ハットでのぼせにくくなるとは言えません。頭や顔を冷やすと暑さが楽に感じたという小規模な研究はありますが、ハットを測ったものではありません。かぶっていても無理はせず、下の段から座ります。

Q. サウナハットはタオルで代用できますか?

A. タオルを頭にのせたり巻いたりして使う人もいます。濡らして使う場合、サウナ室で絞ってよいかなどは施設の決まりに従います。タオルの持ち込みや扱いも、施設ごとに確かめておくと安心です。

Q. サウナハットの素材は何がいいですか?

A. 一般に、ウールやフェルトは厚手でしっかりした生地、リネンは薄手で軽い生地、タオル地は家で洗いやすいと言われます。どれもサウナの中で比べた話ではありません。洗濯表示と、熱くなりうる金属のパーツがないかを見ておくとよいでしょう。

Q. サウナハットを持ち込めない施設はありますか?

A. 持ち込みや着用の決まりは施設ごとに違います。公式サイトの利用案内、館内の掲示を見て、わからなければ受付で尋ねるのが確実です。

まとめ

サウナハットは、なくても困らない人が多い道具です。サウナ室が上の段ほど熱いことは、消費者庁の資料に調査結果として載っています。ただ、それはハットの効果を示すものではありません。ハットそのものは「楽に感じる人がいる」段階にとどまります。素材の違いも、一般に言われる話の域を出ません。

迷うなら、まずタオルを1枚、頭にのせてみる。髪の奥にこもる熱がやわらぐか、耳のじりじりが静まるか、自分の感覚で確かめてみてください。施設の決まりを確かめ、下の段から、無理のない時間で。頭が楽でも、体の合図を優先することは変わりません。

参考文献

  1. サウナ浴での事故に注意 ― 体調に合わせて無理せず安全に ―(2024年6月5日。早坂信哉教授による注意事項、植田理彦「サウナ浴」(1988年。消費者庁が引用)の調査結果を含む。2026年10月31日閲覧)(消費者庁)
  2. Simmons SE, Saxby BK, McGlone FP, Jones DA. The effect of passive heating and head cooling on perception, cardiovascular function and cognitive performance in the heat. Eur J Appl Physiol. 2008;104(2):271-280(要旨。2026年10月31日閲覧)(PubMed)
  3. Simmons SE, Mündel T, Jones DA. The effects of passive heating and head-cooling on perception of exercise in the heat. Eur J Appl Physiol. 2008;104(2):281-288(要旨。2026年10月31日閲覧)(PubMed)
  4. Xue Y, et al. The effects of head-cooling on brain function during passive hyperthermia: an fMRI study. Int J Hyperthermia. 2018;34(7):1010-1019(要旨。2026年10月31日閲覧)(PubMed)
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