サウナの入り方

水風呂の入り方|苦手な人の慣らし方と、入らないほうがいいとき

水風呂の入り方|苦手な人の慣らし方と、入らないほうがいいとき
天井勝太郎
2026年10月31日
サウナ室の扉を出ると、湿った熱がほどけて、ひんやりした空気が肌をなでます。水面にそっと足先を入れた瞬間、思わず息をのむほどの冷たさ。ふくらはぎ、ひざと沈めていくうちに、耳に残るのは静かな水音だけになります。

その冷たさを心地よく感じる人もいれば、縁に立ったまま足がすくんでしまう人もいます。水風呂は、サウナの中でもいちばん好みが分かれやすい場所かもしれません。

先に結論を書くと、水風呂は「汗を流し、少しずつ体を慣らしてから、短めに」が基本です。苦手なら無理に入る必要はない、と医師の注意事項にも書かれています。この記事では、まず急に入らないほうがいい理由と、何分・何度という数字の確かさを確かめます。そのあと、苦手な人の慣らし方と、入らないほうがいい人・タイミングを、資料をもとに見ていきます。

水風呂の入り方の基本|汗を流し、少しずつ体を慣らす

水風呂でいちばん意識したいのは、熱いサウナ室から冷たい水へ、いきなり体を移さないことです。

サウナ室を出たその足で、水風呂に飛び込む。この流れのどこが危ないのかを、消費者庁は2024年6月の注意喚起で説明しています。急な温度変化にさらされることで、いわゆるヒートショックのような状態を自ら起こすことにもつながる。資料はこれを「大変危険」と表現しています。

急に入らないほうがいい理由

同じ資料によると、サウナで体が温まり、血管が開いた状態からすぐに水風呂に入ると、血圧の上昇などが起きます。急な温度差による血管の収縮と、水圧の影響です。その結果、心臓に大きな負担がかかるといいます。

また、個人差はありますが、高齢の人は若い人に比べて血管が硬くなる傾向があります。そのため急な温度変化による血管の伸び縮みに対応できないことがあります。資料は、脳出血、脳梗塞、心筋梗塞などにつながる可能性があるといわれている、と紹介しています。

資料には、医師の早坂信哉さん(東京都市大学教授、温泉療法専門医)による注意事項も載っています。早坂さんは、サウナの直後に突然水風呂に浸かると血圧が上がり、200mmHg程度まで上昇したという報告もあると書いています。水風呂の入り方で「急に入らない」がくり返し言われるのは、こうした理由からです。

ぬるめのお湯で汗を流し、手足から慣らす

では、どう入ればいいのでしょうか。早坂さんは、サウナ室を出たらぬるい温度のお湯で汗を流すよう勧めています。そして手足にかけ水をするなどして、少しずつ水風呂の温度に体を慣らします。消費者庁も、水風呂に入る前はシャワーで体を流し、徐々に体を温度に慣らすよう呼びかけています。
水風呂に少しずつ体を慣らす4つの流れ。ぬるめのお湯で汗を流す、手足の先からかけ水をする、足先から入ってまずはひざや腰まで、短めにしてゆっくり上がる
水風呂に少しずつ体を慣らす4つの流れ。ぬるめのお湯で汗を流す、手足の先からかけ水をする、足先から入ってまずはひざや腰まで、短めにしてゆっくり上がる
図の3と4は、資料にはない編集部の提案です。かけ水のあとも一気に肩まで沈まず、足先から入って、まずはひざや腰のあたりで呼吸を整えてみる。それだけでも、冷たさへの身構え方が変わると感じる人もいます。

上がるときの動き方も、ここは編集部の提案です。縁や手すりにつかまり、一呼吸おいてからゆっくり立ち上がります。消費者庁は、サウナ室の出入りでは床が濡れて滑りやすいことがあるとして、急な行動に注意を呼びかけています。水風呂のまわりも濡れていることが多いので、同じように慌てず動くのが安心です。

浸かっているあいだの過ごし方

水風呂の中での過ごし方に、決まった作法はありません。よく言われるのは、息を止めずにゆっくり吐くこと、肩や手の力を抜いてじっとしていることです。こうすると冷たさがやわらぐように感じる、という人もいます。

ただ、調べた範囲では、こうしたコツの根拠を示した公的な資料は見つかりませんでした。試してみて楽に感じるなら取り入れる、くらいの気持ちで十分です。

冷たさに慣れて心地よく感じてきても、それは長く入ってよいという合図ではありません。次の章で紹介する医師の加藤容崇さんは、ぬるい水風呂でも長く入ると、体の深いところまで冷えてしまうと話しています。

サウナ室・水風呂・休憩の1セット全体の流れや、施設でのマナーは別の記事にまとめています。『サウナの入り方 初心者ガイド|基本の流れ・時間の目安・つまずき対策』です。初めてサウナに行く人は、こちらから読むと全体がつかめます。

水風呂は何分?温度は何度?数字の根拠を分けて見る

「水風呂は何分入ればいいか」「何度がちょうどいいか」は、よく調べられる疑問です。ただ、ネットで見かける数字は、根拠の強さがそれぞれ違います。ここでは、出どころを分けて整理します。

時間の目安|医師の見解は「1分以内」

先に紹介した消費者庁の資料には、水風呂の時間や水温の数値は書かれていませんでした。調べた範囲では、国や公的機関が示した水風呂の時間の基準は見つかっていません。

医師の見解としては、美容メディア「美的.com」の取材記事(2021年3月)があります。話しているのは、取材当時、日本サウナ学会の代表理事だった医師の加藤容崇さんです。加藤さんは、深部体温を下げすぎないよう、水風呂は1分以内にとどめるよう勧めています。深部体温とは、体の深いところの温度のことです。

加藤さんは同じ記事で、ぬるい水風呂でも長く入ると深部まで冷えて、低体温症になりかねないとも話しています。ぬるく感じる水風呂だからといって、長く入ってよいわけではない、ということです。

水温の目安|公的な基準は見つからなかった

水温については、「16〜18℃がちょうどいい」「初心者は20℃以上から」といった数字を、ネット上の記事でよく見かけます。けれども、消費者庁の資料にも医師の取材記事にも、水温の推奨値はありませんでした。調べた範囲では、出典をたどれる基準は見つかっていません。

そもそも水温は、自分で選べないことがほとんどです。水風呂の横の温度計や公式サイトで、温度がわかる施設も多くあります。入る前に目に入れておくと、どのくらい冷たいか想像しやすくなります。
項目よく見かける数字根拠の強さ
時間1分以内医師の見解(美的.com、2021年)
水温16〜18℃ネット上の記事でよく見かける目安。公的な基準は見つからなかった
初心者の水温20℃以上ネット上の記事でよく見かける目安。公的な基準は見つからなかった
公的な基準見つからなかった消費者庁の資料に時間・水温の数値の記載はない
では、冷たいと感じる日はどうすればいいか。ここからは編集部の提案です。数字に体を合わせるより、その日の感じ方に合わせて、入り方のほうを調整するのがおすすめです。

冷たく感じる日の調整のしかた(編集部の提案)

  • いつもより早めに切り上げる
  • 肩まで沈まず、ひざや腰までで止める
  • かけ水だけにして、水風呂には入らない

水風呂が苦手な人へ|少しずつの慣らし方と、入らない選択

サウナ初心者
水風呂に入ると、冷たさで体がこわばってしまいます
しょうたろうしょうたろう
苦手なら、入らないという選び方もありますよ
早坂さんは注意事項の中で、サウナの利用で大切なのは体を温めることだとしています。そのうえで、苦手な人は無理に水風呂に入る必要はない、と書いています。消費者庁も、サウナ浴と外気浴を交互に行うなどの入り方を挙げています。

何回かに分けて、段階を上げていく

ここからは、資料にはない編集部の提案です。水風呂に苦手意識がある人は、一度で肩まで入ろうとせず、何回かのサウナに分けて、少しずつ段階を上げていく方法があります。

段階の上げ方の一例(編集部の提案)

  1. 1手足の先にかけ水をするだけにする
  2. 2足首まで浸けてみる
  3. 3ひざまで浸かる
  4. 4腰まで浸かる
  5. 5慣れてきたら、短い時間だけ肩まで
この段階の上げ方は、冷たさが苦手なだけの人に向けた編集部の提案です。水風呂で動悸や胸の苦しさ、気分の悪さが出る人は、段階を上げようとせず、入らない選択をしてください。心臓の病気や高血圧のある人も同じで、段階を上げようとせず、水風呂に入るかどうかを主治医に確認してください。

冷たさが苦手なだけなら、どの段階でも、つらいと感じたらひとつ手前に戻ってかまいません。1回のサウナで全部の段階を進める必要もありません。今日は足首まで、次はひざまで、と少しずつ広げていくうちに、自分にとって心地よい深さが見えてくる人もいます。

水風呂を使わない入り方

水風呂に入らない日の入り方として、消費者庁が例に挙げているのは、サウナ浴と外気浴を交互に行う方法です。

水風呂の代わりに、手足に冷たいシャワーをかけるだけにしたり、シャワーで汗を流してそのまま休憩に移ったりする人もいます。水風呂に入らない日があっても、サウナの時間が台無しになるわけではありません。早坂さんの言葉を借りれば、サウナで大切なのは体を温めることです。

水風呂に入らないほうがいい人・タイミング

水風呂の冷たさが体に与える負担は、人によって違います。ここでは、早坂さんの注意事項をもとに、とくに気をつけたい人とタイミングを整理します。
水風呂を控えたい人とタイミングの3列の比較図。入らないほうがよい人、とくに注意が必要な人、サウナごと避けるとき
水風呂を控えたい人とタイミングの3列の比較図。入らないほうがよい人、とくに注意が必要な人、サウナごと避けるとき

とくに注意が必要な人

早坂さんによると、サウナの直後に急に水風呂に浸かると、脳卒中や心筋梗塞、狭心症を起こすおそれがあります。脈が遅くなることによる不整脈で、意識を失うこともあるといいます。

とくに危険なのは、動脈硬化が進んだ中高年や高齢の人、血圧の高い人、心臓の病気がある人だとしています。若い人でも、冷水による急な強い刺激が不整脈を引き起こす可能性があるため、注意が必要だと書かれています。年齢が若いから、体力があるからといって、いきなり飛び込んでよい理由にはなりません。

そして早坂さんは、水風呂に入ると動悸がしたり、胸が苦しく感じたりする人は、水風呂には入らないほうがよいとしています。

寒い季節は、水風呂のあとの外気浴でも体が冷えやすく、温度差が大きくなりがちです。冬の入り方と温度差の注意は、『冬のサウナの入り方|外気浴が寒いときの対処と安全の基本』にまとめています。

サウナそのものを控えたいタイミング

水風呂だけでなく、サウナの利用自体を避けるべきときも、早坂さんの注意事項に挙げられています。体調がすぐれないとき、病気で熱があるとき、食事の直後、運動の直後、飲酒後(二日酔いも含む)などです。

また、脳卒中のあとの人や、心臓の病気・高血圧で治療中の人、妊娠中の人は、主治医に確認してから利用するよう勧めています。お酒を飲んだあとに水風呂で酔いをさます、といった使い方はしないでおきましょう。

注意

消費者庁の資料に載っている早坂信哉さんの注意事項より
お酒を飲んだあと(二日酔いのときも)、食事や運動の直後、体調がすぐれないときは、水風呂を含めてサウナの利用を避けてください。

水風呂に入ると動悸がする人、胸が苦しくなる人は、水風呂には入らないようにします。

心臓の病気や高血圧で治療中の人、脳卒中のあとの人、妊娠中の人は、主治医に確認してから利用します。

水分は、入浴前にコップ1〜2杯とり、入浴中もこまめに補給します。入浴後にも、コップ1〜2杯の水分をとってください。

そのほか一般的な安全のために
水風呂の中で気分が悪くなったり、めまいや震えを感じたりしたら、すぐに上がって休みます。周りの人や施設のスタッフにも知らせてください。
個室サウナでひとりで入るときは、気分が悪くなっても、すぐ近くに知らせる相手がいないことがあります。入る前に確かめたい非常用ブザーや扉のことは、『個室サウナの安全|入る前に確かめたい5つのこと』で紹介しています。

よくある質問

Q. 水風呂は何分入ればいいですか?

A. 調べた範囲では、公的な基準は見つかりませんでした。美的.comの取材(2021年)で、取材当時、日本サウナ学会の代表理事だった医師の加藤容崇さんが答えています。深部体温を下げすぎないよう、水風呂は1分以内にとどめるよう勧めています。初めは短めにして、体の感じ方を確かめながら入るのがおすすめです。

Q. 水風呂は何度くらいがちょうどいいですか?

A. 16〜18℃などの数字をネット上の記事でよく見かけますが、調べた範囲では、出典をたどれる公的な基準は見つかりませんでした。水温は施設で決まっているので、冷たく感じる日は短めにする、ひざや腰までで止めるなど、入り方のほうで調整するのが編集部の提案です。

Q. 水風呂に入れない日は、代わりに何をすればいいですか?

A. 消費者庁は、サウナ浴と外気浴を交互に行うなどの入り方を挙げています。手足に冷たいシャワーをかけるだけにする人もいます。早坂信哉教授の注意事項にあるとおり、サウナで大切なのは体を温めることなので、水風呂を省いてもかまいません。

Q. 水風呂の前に汗を流すのはなぜですか?

A. ひとつはマナーです。汗をつけたまま入ると水が汚れます。もうひとつは、急な温度差をやわらげるためです。早坂教授は、汗を流してから、少しずつ水風呂の温度に体を慣らすよう勧めています。

Q. 若くて健康なら、いきなり水風呂に入ってもいいですか?

A. おすすめしません。早坂教授の注意事項では、若い人でも冷水による急な強い刺激が不整脈を引き起こす可能性があり、注意が必要だとしています。年齢にかかわらず、急に入らないことが基本です。慣らしても体への負担がゼロになるわけではないので、持病のある人は主治医に確認してください。

Q. お酒を飲んだあと、水風呂で酔いをさましてもいいですか?

A. やめておきましょう。早坂教授の注意事項では、飲酒後(二日酔いも含む)はサウナの利用そのものを避けるとしています。

まとめ

水風呂の入り方の基本は、汗を流し、少しずつ体を慣らしてから入ることです。時間は医師の見解で1分以内とされますが、水温については、調べた範囲では公的な基準は見つかりませんでした。数字に体を合わせるより、その日の感じ方に合わせて、深さや長さを変えてかまいません。

苦手なら、入らない日があってもいい。足首まで、ひざまで、と少しずつ広げていくうちに、冷たい水の中で呼吸が静まっていく瞬間に出会えるかもしれません。動悸や胸の苦しさを感じる人は、水風呂には入らないほうがよいとされています。症状がくり返すときや心配なときは、主治医に相談してください(編集部の補足)。
天

天井勝太郎

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