サウナの知識

個室サウナの安全|入る前に確かめたい5つのこと

個室サウナの安全|入る前に確かめたい5つのこと
天井勝太郎
2026年10月31日
扉を閉めると、ストーブの小さな音と、木の香りだけが残ります。誰にも気をつかわず、自分のペースで熱に浸り、好きなタイミングで水を浴びる。個室サウナには、大浴場とは違う静けさと自由があります。

2025年12月、東京都港区の個室サウナで火災があり、利用していた2人が亡くなりました。これをきっかけに、国や自治体はサウナ施設の安全対策を見直し始めています。設備の基準は少しずつ整えられていますが、施設によって状況はまだ違います。

この記事では、利用する人が自分で確かめられることに絞って、入る前と入ってから気をつけたいことをまとめます。情報は2026年10月31日時点のものです。条例や施設の対応は変わることがあるので、最新の内容は各機関や施設の案内で確かめてください。

個室サウナで「確かめること」が増えた理由

2025年12月の火災と、その後の動き

港区によると、2025年12月15日、区内の個室サウナを利用していた2人が、サウナ室の中で亡くなりました。消防庁の2026年1月13日付の通知では、この火災の原因などは調査中とされています。

この火災を受けて、厚生労働省は2026年1月に、全国の自治体を通じて、個室に限らず旅館業と公衆浴場のサウナ施設の状況を確かめました。4月21日には、その結果をまとめ、緊急時の連絡・駆けつけの体制や、扉が緊急時に開けられる構造になっているかなどについて、安全対策を徹底するよう自治体に通知しています。

設備は、施設によってまだ違う

厚生労働省の確認結果(2026年4月20日時点、個室に限らずサウナ施設全体)では、サウナ室の中に非常用ブザーがある施設は、旅館業で63.5%、公衆浴場で85.8%でした。

個室サウナに限った調査としては、東京都が東京消防庁と合同で都内の42施設を調べています(2026年3月発表)。42施設すべてで扉の開閉に支障はなく、非常用ブザーやインターホンなどがあったのは17施設でした。ブザーのない施設についても、扉の構造や従業員の体制に応じた安全対策が取られていることを確かめた、とされています。

港区は条例を改正し、2026年10月13日から、サウナ室に温度計、中の様子が見える窓、使いやすい場所の非常用ブザーを設けることや、扉を中から簡単に開けられる構造にすることなどを求めています。ただし、もともとある施設には、扉は2027年3月末まで、ブザーは2027年9月末までの猶予があります。

2026年10月の時点では、施設ごとに設備や対応の仕方が違います。だからこそ、使う側が少しだけ確かめておくことに意味があります。

個室サウナに入る前に確かめたい5つのこと

ここで挙げる5つは、大阪府や消費者庁が利用者に呼びかけている注意と、国や港区が施設に求めている基準を、使う人の目線に置き換えたものです。資料にない部分は、編集部の提案として分けて書いています。受付で聞くのは少し気が引けるかもしれませんが、どれも安全に関わることなので、遠慮はいりません。
個室サウナに入る前に確かめたい5つのことと、受付での聞き方の例をまとめた表
個室サウナに入る前に確かめたい5つのことと、受付での聞き方の例をまとめた表

1. 非常用ブザーの場所と、押したらどうなるか

大阪府は、個室サウナの利用者に向けて、非常ブザーの位置を確かめるよう呼びかけています。サウナ室に入ったら、まずブザーがどこにあるかを目で確かめておきましょう。座った位置から手が届くかも、あわせて見ておくと安心です(編集部の提案)。

押したら誰に届き、どうやってスタッフが来るのかも、受付で聞いておくと安心です(編集部の提案)。たとえば「ブザーを押すと、どなたに届きますか」と聞くだけで十分です。ブザーではなく、インターホンなどほかの方法で呼ぶ施設もあります。

2. 扉の開け方

大阪府は、出入口のドアの状況も確かめるよう呼びかけています。港区の新しい基準でも、扉は中の人が簡単に開けられる構造にし、閉じ込められるおそれのある留め具(ラッチなど)を付けないことが求められています。

ここからは編集部の提案です。部屋に入って扉を閉めたら、温まる前に、中からの開け方(押すのか引くのか)を目で見て確かめておきましょう。開け方がわかりにくいときは、受付で教えてもらってください。施設の案内がある場合は、それに従います。

3. スタッフへの連絡手段

厚生労働省が施設に求めている対策のひとつが、緊急時に従業員と連絡がとれ、駆けつけられる体制です。利用する側としては、ブザーやインターホンのほかに受付へ連絡する方法があるか、利用している時間にスタッフがいるかを、予約や受付のときに聞いておくと安心です。

4. 温度計と、中の様子が見える窓

港区の基準では、サウナ室に温度計と、外から中の様子を確認できる窓などを設けることになっています。温度計があれば、いまの室温を見ながら、無理のない入り方を選べます。窓の有無は、何かあったときに外から気づいてもらえるかどうかにも関わります。

5. 掲示された注意事項と、利用のルール

消費者庁は、サウナを使うときは掲示されている注意事項を確かめ、正しく利用するよう呼びかけています。個室サウナでは、ロウリュ(ストーブの石に水をかけること)のやり方や温度の調整、利用時間の決まりが施設ごとに違うことがあります。入る前に一度、掲示や案内に目を通しておきましょう。

これらは予約の段階でも確かめられます。初めての施設なら、公式サイトを見たり、問い合わせたりしておくと、当日の不安が減ります。

個室サウナに入ってから気をつけたいこと

温度に体を慣らし、無理をしない

扉を閉めてしばらくすると、熱がじわじわと肌に染みこみ、呼吸が深くなっていきます。消費者庁は、サウナの利用者に向けて、温度に体を慣らすことを意識し、自分の体調に合わせて無理のない利用を心がけるよう呼びかけています。

個室サウナは、時間や温度を自分で決めやすい場所です。「せっかくだから」と長く入りすぎないよう、短めから始めて、苦しくなる前に出るようにしましょう。寒い季節は、サウナ室と外の温度差も大きくなります。冬に気をつけたいこと(非常用の呼び出しボタンの確かめ方も含めて)は、こちらの記事にまとめています。

ロウリュとやけどに気をつける

消費者庁がまとめた事故情報(2024年4月末時点で78件)では、けがの内容でいちばん多かったのはやけど(31件)でした。消費者庁は、サウナ室内での思わぬやけどや、出入りのときの急な動きに注意するよう呼びかけています。

ロウリュをすると、熱い蒸気が一気に広がります。水をかける量や回数は施設の案内に従い、ストーブには近づきすぎないようにしてください。

体調に異変を感じたら、すぐ知らせる

消費者庁と大阪府は、サウナ室で体調に異変を感じたら、すぐに周りの人や施設の従業員に知らせるよう呼びかけています。少しでもおかしいと感じたら、我慢せずにサウナ室を出て、ブザーやインターホンで知らせてください。二人で入っているときは、お互いの様子に気を配り、どちらかが具合の悪そうなときは一緒に出るとよいでしょう(編集部の提案)。

個室サウナと、お酒・体調の注意

個室サウナは、仕事帰りや食事のあとに立ち寄りやすい場所でもあります。消費者庁は、入浴全般の注意として、食後すぐや飲酒後、薬を飲んだあとの入浴は避けるよう呼びかけています。消費者庁の注意はここまでですが、そのほか一般的な安全のために、次のことも守ってください。

注意

お酒を飲んだあとは、個室サウナに入らないでください。

食後すぐ、寝不足のとき、体調がすぐれないときも無理をしないでください。薬を飲んだあとは、入ってよいかを医師や薬剤師に相談してください。

入る前と、セットの合間には、水やお茶などでこまめに水分をとってください。持病がある人、高齢の人、妊娠中の人は、事前に医師に相談してください。

よくある質問

Q. 個室サウナは危険なのですか?

A. 個室サウナかどうかで一概に危険とは言えません。ただ、2025年12月の火災を受けて国や自治体が安全対策の徹底を求めており、非常用ブザーの場所や扉の開け方を入る前に確かめておく意味があります。無理をせずに利用してください。

Q. 個室サウナには、必ず非常用ブザーがありますか?

A. いまは施設によって違います。個室サウナに限った東京都の調査(2026年3月発表)では、調べた42施設のうち、非常用ブザーやインターホンなどがあったのは17施設でした。国の確認では、個室に限らないサウナ施設全体で、サウナ室に非常用ブザーがあるのは旅館業で63.5%、公衆浴場で85.8%です(2026年4月20日時点)。入る前に受付で確かめてください。

Q. 扉が開けにくいと感じたら、どうすればいいですか?

A. ブザーやインターホンなどで、すぐにスタッフを呼んでください。施設の案内があれば、それに従ってください。入る前に開けにくさに気づいたときも、そのまま使わずに受付に伝えましょう。

Q. ロウリュは自由にしてもいいですか?

A. 施設のルールによります。水をかける量や回数の決まりがある施設もあるので、掲示や案内に従ってください。熱い蒸気でやけどをしないよう、ストーブに近づきすぎないことも大切です。

Q. お酒を飲んだあとに個室サウナに入ってもいいですか?

A. 入らないでください。消費者庁も、入浴全般の注意として、飲酒後の入浴は避けるよう呼びかけています。

まとめ

個室サウナに入る前は、非常用ブザーの場所と押したときの流れ、扉の開け方、スタッフへの連絡手段を確かめておきましょう。入ってからは、温度に体を慣らし、無理をせず、異変を感じたらすぐに知らせること。そして、お酒を飲んだ日は入らないことです。

確かめることは、ほんの数分で終わります。そのひと手間があるからこそ、扉を閉めたあとの静けさに、安心して身をゆだねられます。
天

天井勝太郎

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