この「石に水をかけて蒸気を立てる」のがロウリュで、立った蒸気をタオルなどであおいで送るのがアウフグースです。どちらもサウナ好きのあいだでよく聞く言葉ですが、違いはあまり知られていないかもしれません。
この記事では、消費者庁の資料にある定義と言葉の由来から、二つの違いを整理します。そのうえで、初めてアウフグースを受けるときの流れとマナー、セルフロウリュと安全の注意点をまとめます。
ロウリュとアウフグースとは
ロウリュは「石に水をかけて蒸気を立てること」
利用者が自分で水をかけられる施設もあり、これがいわゆるセルフロウリュです。
アウフグースは「その蒸気の熱を、タオルなどで送ること」
言葉の由来はフィンランド語とドイツ語
アウフグースは、ドイツ語の「Aufguss」から来た言葉とされます。Wiktionary のドイツ語版では、注ぎかけるという意味の動詞 aufgießen の名詞とされます(訳は編集部)。
Wiktionary ドイツ語版では、サウナでの意味は、熱した石に水をかけることとされています(訳は編集部)。消費者庁の定義(蒸気をあおぐ動作までを含む)とは範囲が違って見えますが、ドイツ語圏での実際の使われ方までは確かめていません。いずれも辞書サイトの説明で、一次の辞書は確認していません。
ロウリュとアウフグースの違い
もう一つの違いは、誰が行うかです。ロウリュは、施設によっては利用者が自分でできます。アウフグースは、消費者庁の資料に載っている医師の注意事項でも、スタッフが熱風をあおぐイベントとして紹介されています。

初めてアウフグースを受けるときの流れ

始まる前|時間と掲示を確かめ、水分をとる
座るのは、まずひな壇の下の段から。同じ注意事項によると、1段上がると10℃ほど温度が上がるためで、最初から上の段では急な高温で血圧が急に上がる危険があるそうです。
直前のセットでたっぷり温まっていると、熱波の途中でつらくなると感じる人もいます。初めての日は、余力を残して席に着くくらいがちょうどいいかもしれません。
持病や飲酒後の注意は、このあとの「安全に楽しむために」でまとめています。
熱波の最中|熱さは座る場所で変わる
早坂教授の注意事項では、汗が出てきたら滴るまで我慢せず、自分のペースで一旦サウナ室を出るよう勧めています。動悸を感じたときも、体温が上がりすぎているサインなので出る、としています。
終わったあと|汗を流し、ゆっくり休む
入浴を終えたら、すばやく体の水滴を拭き取り、血圧が安定するまで30分ほど休憩スペースで休むことも勧めています。入浴後にも、コップ1〜2杯の水分をとります。
サウナの基本の流れは『サウナの入り方 初心者ガイド|基本の流れ・時間の目安・つまずき対策』にまとめています。
サウナが初めての人へ

サウナの入り方
サウナの入り方 初心者ガイド|基本の流れ・時間の目安・つまずき対策
アウフグースのマナー|施設ごとの掲示に従う
掲示されている注意事項の例(消費者庁の資料より)
- 我慢をするなど、無理なサウナ浴は控える
- コンタクト・メガネ・金属類を外す
- 可燃物や電子機器類を持ち込まない
- 段差に注意し、ベンチから飛び降りない
- サウナストーブや照明など、温度の高い部分に触れない
編集部の提案|確かめておきたいこと
- 案内の説明(水をかけるだけか、タオルであおぐか)
- 始まってから途中で入ってもいいか
- 席の決まり(整理券や順番の案内があるか)
- タオルの扱い(サウナ室の中で絞ってよいか、敷いて座るか)
- 会話や声かけの決まりはあるか
セルフロウリュのやり方と注意点
そのうえで資料は、サウナストーブに一度に大量の水をかけると、蒸気が大量に出てやけどをすることも考えられる、と注意しています。ロウリュの方法は、あらかじめ施設等に確かめてから行うよう呼びかけています。
セルフロウリュの基本の流れ(編集部の提案)
- 1
掲示や案内で、やり方を確かめる
かける量や回数、時間帯の決まり、使う道具を見ておきます。わからなければスタッフに尋ねます。
- 2
周りの人に一声かける
蒸気で一気に熱くなるので、同じ部屋に人がいれば、一声かけてからにすると安心です。
- 3
少量ずつ、石に向けてかける
一度に大量にかけないこと。ストーブや照明には触れず、手を伸ばしすぎないようにします。
- 4
蒸気が落ち着くのを待つ
立ちのぼった蒸気が広がるまで、少し離れて待ちます。熱すぎると感じたら、席を下の段に移ります。
個室サウナでロウリュをするなら

サウナの知識
個室サウナの安全|入る前に確かめたい5つのこと
安全に楽しむために|アウフグースの途中で出ていい
熱波の途中で席を立つのは、失礼なことではありません。編集部としては、タオルの動きが落ち着いた合間に、足元に気をつけて立つことをおすすめします。
同じ注意事項では、サウナを避けるべきときや、主治医に確かめてから使うべき人も挙げています。
注意
心臓の病気や高血圧で治療中の人、脳卒中のあとの人、妊娠中の人は、主治医に確かめてから利用します。
入浴前と入浴後にはコップ1〜2杯、入浴中もこまめに水分をとります。汗が滴る前や、動悸を感じたときは、アウフグースの途中でもサウナ室を出ます。
消費者庁の資料も、サウナ室で体調に異変を感じたときは、すぐに周囲の人や施設の従業員に知らせるよう呼びかけています。
熱波師とは|アウフグースを担うスタッフ
民間の取り組みとしては、日本サウナ熱波アウフグース協会(JSNA)の「熱波師検定」があります。協会のサイトによると(2026年10月時点)、検定はB(未経験可、高校生以上)、SUS、Aの順に進み、協会の検定には認定証が付きます。2019年に始まり、受講者は約3,000名とされています。また、Aの認定証には2026年4月から2年の有効期限が設けられています。
協会のサイトを確認した範囲では、この検定が国家資格や免許であるという記載はありませんでした。民間の検定です。
よくある質問
Q. ロウリュとアウフグースの違いは何ですか?
A. 消費者庁の資料の定義では、ロウリュは熱したサウナストーンに水をかけて蒸気を立てることです。アウフグースは、その蒸気をタオルなどであおいで熱い風を送ることを指します。
Q. アウフグースの途中でサウナ室を出てもいいですか?
A. 出てかまいません。消費者庁の資料に載っている医師の注意事項でも、イベントの最中でも無理せず、我慢しないで出るよう勧めています。消費者庁の資料も、サウナ室の出入りでは急な行動に注意するよう呼びかけています。出るときは足元に気をつけて、ゆっくり立ち上がると安心です。
Q. 初心者でもアウフグースを受けられますか?
A. 参加の条件は施設によって違うので、案内を確かめてください。受けるなら、温度が低めの下の段に座り、熱いと感じたら途中で出るつもりでいると気が楽です。水分も先にとっておきます。
Q. セルフロウリュは、どのくらい水をかければいいですか?
A. 決まった量は施設ごとに違うので、掲示や案内に従います。消費者庁は、一度に大量の水をかけると、蒸気が大量に出てやけどのおそれがあるとしています。方法は事前に施設に確かめます。
Q. 熱波師になるには資格が必要ですか?
A. 協会のサイトを確認した範囲では、国家資格や免許という記載はありません。民間の検定として、日本サウナ熱波アウフグース協会(JSNA)の「熱波師検定」があります。働くうえで何が求められるかは、施設ごとに確かめてください。
まとめ
アウフグースの途中で出るのは、失礼なことではありません。水分をとって下の段に座り、熱の波が肩を通りすぎていくのを、自分のペースで味わう。それくらいの距離感で、初めての一回を楽しんでみてください。
参考文献
- サウナ浴での事故に注意 ― 体調に合わせて無理せず安全に ―(2024年6月5日。早坂信哉教授による注意事項を含む)(消費者庁)
- 熱波師検定(日本サウナ熱波アウフグース協会(JSNA))
- löyly(Wiktionary(英語版))
- Aufguss(Wiktionary(ドイツ語版))



