サウナの知識

ロウリュとアウフグースとは|違いと、初めて受けるときのマナー

ロウリュとアウフグースとは|違いと、初めて受けるときのマナー
天井勝太郎
2026年10月31日
ひしゃくの水がストーブの石に落ちると、じゅわっという音とともに白い蒸気が立ちのぼります。少し遅れて、熱の波が天井から肩へ、背中へと降りてくる。サウナ室の空気が、一瞬で別のものに変わったように感じられます。

この「石に水をかけて蒸気を立てる」のがロウリュで、立った蒸気をタオルなどであおいで送るのがアウフグースです。どちらもサウナ好きのあいだでよく聞く言葉ですが、違いはあまり知られていないかもしれません。

この記事では、消費者庁の資料にある定義と言葉の由来から、二つの違いを整理します。そのうえで、初めてアウフグースを受けるときの流れとマナー、セルフロウリュと安全の注意点をまとめます。

ロウリュとアウフグースとは

消費者庁が2024年6月に出した資料「サウナ浴での事故に注意」には、二つの言葉の定義が脚注に載っています。この記事では、この定義を土台にします。

ロウリュは「石に水をかけて蒸気を立てること」

消費者庁の資料では、ロウリュを「熱したサウナストーンに水をかけて蒸気を発生させる行為」としています。ストーブの上に積まれた石に水をかけると、蒸気が広がり、サウナ室の空気がしっとりと熱く感じられます。

利用者が自分で水をかけられる施設もあり、これがいわゆるセルフロウリュです。

アウフグースは「その蒸気の熱を、タオルなどで送ること」

アウフグースは、消費者庁の資料では「サウナ室内でロウリュを行い、立ち昇った蒸気をタオルなどであおいで、熱い風を客に送る行為」と定義されています。同じ資料には、定期的にアウフグースなどのイベントを行う施設がある、とも書かれています。

言葉の由来はフィンランド語とドイツ語

ロウリュは、フィンランド語の「löyly」から来た言葉とされます。オンラインの辞書 Wiktionary の英語版では、ストーブから立ちのぼる蒸気や、サウナの熱気を指す言葉と説明されています。

アウフグースは、ドイツ語の「Aufguss」から来た言葉とされます。Wiktionary のドイツ語版では、注ぎかけるという意味の動詞 aufgießen の名詞とされます(訳は編集部)。

Wiktionary ドイツ語版では、サウナでの意味は、熱した石に水をかけることとされています(訳は編集部)。消費者庁の定義(蒸気をあおぐ動作までを含む)とは範囲が違って見えますが、ドイツ語圏での実際の使われ方までは確かめていません。いずれも辞書サイトの説明で、一次の辞書は確認していません。

ロウリュとアウフグースの違い

二つの関係を一言でまとめると、ロウリュは「蒸気をつくること」、アウフグースは「その蒸気の熱を送ること」です。アウフグースはロウリュを含んでいて、ロウリュのあとに、あおぐ動きが加わります。

もう一つの違いは、誰が行うかです。ロウリュは、施設によっては利用者が自分でできます。アウフグースは、消費者庁の資料に載っている医師の注意事項でも、スタッフが熱風をあおぐイベントとして紹介されています。
ロウリュとアウフグースの比較図。ロウリュは熱したサウナストーンに水をかけて蒸気を立てること、アウフグースはその蒸気をタオルなどであおいで熱い風を送ること
ロウリュとアウフグースの比較図。ロウリュは熱したサウナストーンに水をかけて蒸気を立てること、アウフグースはその蒸気をタオルなどであおいで熱い風を送ること

初めてアウフグースを受けるときの流れ

アウフグースの進め方は、施設や担当するスタッフによってさまざまです。ここでは、始まる前、熱波の最中、終わったあとの三つに分けて、気をつけたいことを並べます。消費者庁の資料に載っている医師の注意事項と、編集部の提案は分けて書いています。
初めてアウフグースを受けるときの流れ図。始まる前は水分をとって下の段へ、熱波の最中はつらければ途中でも出る、終わったあとは汗を流して30分ほど休む
初めてアウフグースを受けるときの流れ図。始まる前は水分をとって下の段へ、熱波の最中はつらければ途中でも出る、終わったあとは汗を流して30分ほど休む

始まる前|時間と掲示を確かめ、水分をとる

消費者庁の資料には、東京都市大学の早坂信哉教授(医師・温泉療法専門医)による注意事項が載っています。そこでは、サウナは汗をかくため、入浴前にコップ1〜2杯の水分をとるよう勧めています。サウナ室に入る前にシャワーで体を流し、体の水滴を拭き取ってから入ることも挙げられています。

座るのは、まずひな壇の下の段から。同じ注意事項によると、1段上がると10℃ほど温度が上がるためで、最初から上の段では急な高温で血圧が急に上がる危険があるそうです。
編集部からの提案もいくつか。開始時刻は、館内の掲示や受付の案内で確かめておくと慌てずにすみます。整理券があるか、始まってから入室できるかも、あわせて確かめておくと安心です。

直前のセットでたっぷり温まっていると、熱波の途中でつらくなると感じる人もいます。初めての日は、余力を残して席に着くくらいがちょうどいいかもしれません。

持病や飲酒後の注意は、このあとの「安全に楽しむために」でまとめています。

熱波の最中|熱さは座る場所で変わる

石に水がかかると、蒸気が天井へ昇り、ゆっくり室内に広がっていきます。そのあとタオルが大きく振られるたびに、熱い空気のかたまりが体に当たります。肌の表面がじりっと熱くなり、思わず息を細くしたくなる瞬間です。

早坂教授の注意事項では、汗が出てきたら滴るまで我慢せず、自分のペースで一旦サウナ室を出るよう勧めています。動悸を感じたときも、体温が上がりすぎているサインなので出る、としています。
熱さを和らげるために、顔や耳をタオルで覆う人もいます。出入口に近い席なら、すぐに出られる安心感もあります(編集部の提案)。

終わったあと|汗を流し、ゆっくり休む

アウフグースのあとは、いつものサウナより体が温まっていると感じる人もいます。注意事項では、サウナ室を出たらぬるいお湯で汗を流すことを挙げています。水風呂は、手足にかけ水をするなどして少しずつ慣らします。水風呂が苦手な人は、無理に入る必要はないとも書いています。

入浴を終えたら、すばやく体の水滴を拭き取り、血圧が安定するまで30分ほど休憩スペースで休むことも勧めています。入浴後にも、コップ1〜2杯の水分をとります。

サウナの基本の流れは『サウナの入り方 初心者ガイド|基本の流れ・時間の目安・つまずき対策』にまとめています。

アウフグースのマナー|施設ごとの掲示に従う

アウフグースの決まりごとは、施設ごとに違います。消費者庁は、サウナの営業施設には入浴上の注意事項が掲示されていることが多いとしています。そのルールを守り、安全に使うよう呼びかけています。資料では、掲示の例として次のような項目を挙げています。

掲示されている注意事項の例(消費者庁の資料より)

  • 我慢をするなど、無理なサウナ浴は控える
  • コンタクト・メガネ・金属類を外す
  • 可燃物や電子機器類を持ち込まない
  • 段差に注意し、ベンチから飛び降りない
  • サウナストーブや照明など、温度の高い部分に触れない
アウフグースの最中はタオルが大きく動き、室内が混み合います。熱いからと勢いよく立ち上がったり、ベンチから飛び降りたりしないことは、自分のためにも周りのためにも大切です。
次は資料にはない点で、編集部の提案です。掲示や案内で、たとえば次のようなことを確かめておくと安心です。

編集部の提案|確かめておきたいこと

  • 案内の説明(水をかけるだけか、タオルであおぐか)
  • 始まってから途中で入ってもいいか
  • 席の決まり(整理券や順番の案内があるか)
  • タオルの扱い(サウナ室の中で絞ってよいか、敷いて座るか)
  • 会話や声かけの決まりはあるか
迷ったら、スタッフに一声かけて尋ねるのがいちばん確かです。

セルフロウリュのやり方と注意点

セルフロウリュは、利用者が自分でサウナストーンに水をかけるロウリュです。消費者庁の資料でも、最近ではセルフでロウリュができる施設等も登場している、と紹介されています。

そのうえで資料は、サウナストーブに一度に大量の水をかけると、蒸気が大量に出てやけどをすることも考えられる、と注意しています。ロウリュの方法は、あらかじめ施設等に確かめてから行うよう呼びかけています。
同じ資料には、海外のホテルのサウナでロウリュをした30歳代の女性の事例も載っています。高温の蒸気が大量に出て、右手の甲に全治1か月のやけどを負ったというものです(セルフだったかは資料に書かれていません)。
かける量や回数、使ってよい道具は施設によって違います。編集部としては、次のような流れで、少しずつ試すことをおすすめします。

セルフロウリュの基本の流れ(編集部の提案)

  1. 1

    掲示や案内で、やり方を確かめる

    かける量や回数、時間帯の決まり、使う道具を見ておきます。わからなければスタッフに尋ねます。

  2. 2

    周りの人に一声かける

    蒸気で一気に熱くなるので、同じ部屋に人がいれば、一声かけてからにすると安心です。

  3. 3

    少量ずつ、石に向けてかける

    一度に大量にかけないこと。ストーブや照明には触れず、手を伸ばしすぎないようにします。

  4. 4

    蒸気が落ち着くのを待つ

    立ちのぼった蒸気が広がるまで、少し離れて待ちます。熱すぎると感じたら、席を下の段に移ります。

個室サウナでも、ロウリュのやり方は施設ごとに違うことがあります。個室ならではの確認ごとは『個室サウナの安全|入る前に確かめたい5つのこと』にまとめています。

安全に楽しむために|アウフグースの途中で出ていい

消費者庁によると、事故情報データバンクには、2024年4月末時点でサウナ浴に関する事故情報が78件登録されています。けがの内容では、やけどが31件ともっとも多くなっています。ただし、そのうちロウリュによるものが何件かは示されていません。
早坂教授の注意事項は、アウフグースについてはっきり触れています。イベントが始まると出にくくなるものの、体温の上昇は人それぞれです。無理せず、途中でも我慢しないで出るように、としています。

熱波の途中で席を立つのは、失礼なことではありません。編集部としては、タオルの動きが落ち着いた合間に、足元に気をつけて立つことをおすすめします。

同じ注意事項では、サウナを避けるべきときや、主治医に確かめてから使うべき人も挙げています。

注意

飲酒後(二日酔いのときも)、食事や運動の直後、体調がすぐれないときは、サウナの利用を避けます。

心臓の病気や高血圧で治療中の人、脳卒中のあとの人、妊娠中の人は、主治医に確かめてから利用します。

入浴前と入浴後にはコップ1〜2杯、入浴中もこまめに水分をとります。汗が滴る前や、動悸を感じたときは、アウフグースの途中でもサウナ室を出ます。

消費者庁の資料も、サウナ室で体調に異変を感じたときは、すぐに周囲の人や施設の従業員に知らせるよう呼びかけています。

熱波師とは|アウフグースを担うスタッフ

アウフグースでタオルをあおぐスタッフは、「熱波師」と呼ばれることがあります。

民間の取り組みとしては、日本サウナ熱波アウフグース協会(JSNA)の「熱波師検定」があります。協会のサイトによると(2026年10月時点)、検定はB(未経験可、高校生以上)、SUS、Aの順に進み、協会の検定には認定証が付きます。2019年に始まり、受講者は約3,000名とされています。また、Aの認定証には2026年4月から2年の有効期限が設けられています。

協会のサイトを確認した範囲では、この検定が国家資格や免許であるという記載はありませんでした。民間の検定です。

よくある質問

Q. ロウリュとアウフグースの違いは何ですか?

A. 消費者庁の資料の定義では、ロウリュは熱したサウナストーンに水をかけて蒸気を立てることです。アウフグースは、その蒸気をタオルなどであおいで熱い風を送ることを指します。

Q. アウフグースの途中でサウナ室を出てもいいですか?

A. 出てかまいません。消費者庁の資料に載っている医師の注意事項でも、イベントの最中でも無理せず、我慢しないで出るよう勧めています。消費者庁の資料も、サウナ室の出入りでは急な行動に注意するよう呼びかけています。出るときは足元に気をつけて、ゆっくり立ち上がると安心です。

Q. 初心者でもアウフグースを受けられますか?

A. 参加の条件は施設によって違うので、案内を確かめてください。受けるなら、温度が低めの下の段に座り、熱いと感じたら途中で出るつもりでいると気が楽です。水分も先にとっておきます。

Q. セルフロウリュは、どのくらい水をかければいいですか?

A. 決まった量は施設ごとに違うので、掲示や案内に従います。消費者庁は、一度に大量の水をかけると、蒸気が大量に出てやけどのおそれがあるとしています。方法は事前に施設に確かめます。

Q. 熱波師になるには資格が必要ですか?

A. 協会のサイトを確認した範囲では、国家資格や免許という記載はありません。民間の検定として、日本サウナ熱波アウフグース協会(JSNA)の「熱波師検定」があります。働くうえで何が求められるかは、施設ごとに確かめてください。

まとめ

ロウリュは石に水をかけて蒸気を立てること、アウフグースはその蒸気をタオルなどで送ること。消費者庁の資料の定義を押さえておけば、施設の案内を読むときの手がかりになります。決まりごとは施設ごとに違うので、まず掲示を確かめ、セルフロウリュは少しずつかけます。

アウフグースの途中で出るのは、失礼なことではありません。水分をとって下の段に座り、熱の波が肩を通りすぎていくのを、自分のペースで味わう。それくらいの距離感で、初めての一回を楽しんでみてください。

参考文献

  1. サウナ浴での事故に注意 ― 体調に合わせて無理せず安全に ―(2024年6月5日。早坂信哉教授による注意事項を含む)(消費者庁)
  2. 熱波師検定(日本サウナ熱波アウフグース協会(JSNA))
  3. löyly(Wiktionary(英語版))
  4. Aufguss(Wiktionary(ドイツ語版))
天

天井勝太郎

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