週1回で足りるのか。毎日は入りすぎなのか。体にいいなら増やすべきなのか。
先に結論を書きます。サウナを「週◯回」入るのが正解だと言える公的な基準は、調べた範囲では見つかりませんでした。よく聞く「週2回」も、元の資料は確認できていません。フィンランドには、週1回の人と比べて頻度の多い人で死亡が少なかった研究があります。ただ、それは関連であり、サウナが原因とは言えません。
この記事では、利用の実態、目安の出どころ、研究の中身を順に確かめます。
サウナに週何回?みんなの利用頻度を調査でみる
ファンくるは2024年7月、登録者1,010名(男性250名、女性760名)に調査をしています。直近1年の利用頻度を聞いたものです。月1回以上サウナを使った人は51%でした。その内訳は、回答者全体の36%が月に1〜2回、11%が週に1回程度、4%が週に数回です。
auコマース&ライフ(au PAY マーケットの運営会社)も、1月25〜28日に調査をしています。年は、紹介記事の日付(2022年3月)から2022年とみられます。対象は、趣味でサウナに通う全国の20〜60代600名です。この調査では、週1回以上通う人が36.3%でした。

週1回以上にあたるのは、ファンくるでは週に1回程度の11%と週に数回の4%です(合わせて15%は編集部の計算)。auコマース&ライフでは週1回以上が36.3%で、趣味で通う人だけが対象です。
どちらも利用の実態を示す数字で、適切な回数を示すものではありません。
「サウナは週2回」はどこから来た目安?
出どころとしては、協会の公式テキスト(2014年)に「週に2回くらい」とある、と引用するサイトがあります。ただ、編集部はそのテキストの実物を確認できていません。どんな文脈の言葉なのかも、引用からはわかりませんでした。
そのため、この記事では「協会が週2回を推奨している」とは書きません。引用で広まっている目安のひとつ、という扱いにとどめます。
サウナの頻度と健康の研究は、どこまで言える?
フィンランドの男性2,315人を約20年追った研究(2015年)
サウナの頻度は、最初の時点で1回だけ、質問票で聞いたものです。週1回が601人、週2〜3回が1,513人、週4〜7回が201人でした。サウナ室の温度は平均で約79℃。フィンランド式の、乾いた熱いサウナです。
比べる基準は「週1回の人」です。サウナを使わない12人は、最初から分析の対象から除かれています。年齢、血圧、喫煙、飲酒、体力、運動量、社会経済的な状況などを調整したあとの結果は、下の表のとおりです。
| 死亡の種類 | 週2〜3回 | 週4〜7回 |
|---|---|---|
| 心臓突然死 | 0.78(0.57〜1.07)※統計的に有意でない | 0.37(0.18〜0.75) |
| 冠動脈疾患による死亡 | 0.77(0.60〜0.99) | 0.52(0.31〜0.88) |
| 心血管疾患による死亡 | 0.73(0.59〜0.89) | 0.50(0.33〜0.77) |
| すべての原因による死亡 | 0.76(0.66〜0.88) | 0.60(0.46〜0.80) |
かっこ内の信頼区間が1をまたぐと、偶然の差と区別できません。週2〜3回では、冠動脈疾患・心血管疾患・全死因の死亡は週1回より低めでした。ただ、心臓突然死だけは信頼区間(0.57〜1.07)が1をまたいでいます。
研究の著者自身が挙げている限界
頻度は最初に1回聞いただけで、その後に習慣が変わった可能性もあります。診断の有無にかかわらず、病気がサウナの習慣に影響していた可能性も、著者は挙げています。
結果を当てはめられる範囲も限られます。著者は、女性や、サウナに入る習慣のない人での研究が必要だとしています。平均79℃のフィンランド式の結果は、スチームルームなど温度の低いサウナにそのまま当てはめられない、とも書いています。
女性を含めた研究(2018年)では
危険因子や運動量、社会経済的な状況を調整した、心血管疾患による死亡のハザード比です。週1回の人と比べ、週2〜3回で0.77(0.56〜1.07)。統計的に有意ではありませんでした。週4〜7回では0.36(0.17〜0.77)です。
論文の要旨に出てくる0.75と0.23は、追跡中に冠動脈疾患を発症したかどうかも調整した値です。心血管疾患で亡くなった人は181人と少なく、推定の幅が広い点にも注意が必要です。
ただし、女性だけで見ると、統計的に有意な関連は見られませんでした。著者は、亡くなった人の数が少なかったためと説明しています。週4〜7回の女性73人では死亡が0件で、ハザード比は計算されていません。
「週1回で死亡リスク30〜40%減」、Full Factは「誤り」と判定
理由は、元とみられるフィンランドの研究が、サウナに入らない人と比べていないことです。さらに、関連を示した研究であり、サウナが死亡リスクを下げた証拠にはならない、としています。
30〜40%は、2015年の研究で年齢だけを調整した全死因死亡の値から来たとみられます。ハザード比は週2〜3回0.69、週4〜7回0.61で、どちらも週1回の人との比較です。
| 区分 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| わかっていること | フィンランドの中高年男性で、週4〜7回の人は週1回の人より、調べた4種類の死亡すべてでハザード比が低かった | Laukkanenほか(2015年) |
| わかっていること | 週2〜3回でも、週1回より低めの項目が多かった。ただし心臓突然死だけは信頼区間が1をまたいだ | Laukkanenほか(2015年) |
| わかっていること | 男女の研究の心血管疾患による死亡では、週4〜7回は低めで、週2〜3回は有意でなかった | Laukkanenほか(2018年)。死亡は181人と少ない |
| まだ言えないこと | サウナが死亡リスクを下げた(因果関係) | 観察研究。Full Factも同じ指摘(2023年) |
| まだ言えないこと | 女性でも同じ関連がある | 2018年の研究で、女性では有意な関連なし(死亡数が少ない) |
| まだ言えないこと | 日本の施設や、温度の低いサウナでも同じ | 著者は平均79℃のフィンランド式の結果だとしている |
| まだ言えないこと | 週何回が最適か、何回から入りすぎか | 今回の資料では確認できなかった |
「気持ちいい」と「体にいい」は別の話

サウナの知識
「ととのう」とは|感覚の仕組みと、整わないときに考えたいこと
サウナに毎日入ってもいい?入りすぎの目安は
資料が危険として挙げているのは、回数ではなく入り方です。体を温度に慣らさずにいきなりサウナ室に入る。我慢して長時間のサウナ浴をする。飲酒後にサウナ浴をする。こうした例です。
消費者庁の資料とは別に、Laukkanenらの2015年の論文も飲酒に触れています。過去の報告を引いて、突然死のうちサウナの24時間以内に起きたのは1〜2%で、飲酒との併用が主な要因のひとつだったと書いています。
頻度の研究の結果ではなく、論文が引いた過去の報告です。この割合は、サウナが安全だという根拠にはなりません。
ここからは編集部の提案です。毎日かどうかより、その日の1回を無理なく終えられているかを見てください。回数が増えると、疲れた日や寝不足の日にも「いつもどおり」入りたくなります。そんな日は短めにするか休む、という選択を持っておきたいところです。
通う回数が増えるほど、汗で失う水分の機会も増えます。飲み物のタイミングは『サウナの水分補給|いつ何をどれだけ飲む?前後の食事とお酒の注意』にまとめています。
回数が増えるなら、水分補給も

サウナの知識
サウナの水分補給|いつ何をどれだけ飲む?前後の食事とお酒の注意
サウナの頻度を変える前に知っておきたいこと
汗が出てきたら、滴るまで我慢せず、いったんサウナ室を出る。動悸を感じたときも出る。汗は十分に温まったサイン、動悸は体温が上がりすぎているサインだと説明しています。アウフグースなどのイベントの途中でも、我慢しないよう勧めています。
入る前には、コップ1〜2杯の水分をとる。水風呂は、いきなり入ると血圧が急に上がるおそれがあるため、ぬるい湯で汗を流し、手足にかけ水をして慣らす。苦手なら入らなくてよい、ともしています。
注意
脳卒中後や心臓疾患、高血圧で治療中の人、妊娠中の人は、主治医に確認してからの利用を勧めています。最初から上段に座ると、急な高温で血圧が急上昇する危険がある、とも説明しています。
(以下は資料にはない、編集部の補足)持病のある人が頻度を増やしたいときも、回数について主治医に相談してみてください。研究の数字を理由に、体調の悪い日まで入る必要はありません。
自分に合ったサウナの頻度の見つけ方
頻度を考えるときの手がかり(編集部の提案)
- 翌日にだるさや疲れが残らないか
- 1回ごとに、汗や動悸で無理なく出られているか
- 「行かなければ」と予定を詰めて、睡眠を削っていないか
- 疲れた日は短めにする、休むと決めておけるか
- 回数を変えるときは、少しずつ変えて体調を見ているか
ただ、体感だけで安全は判断できません。持病のある人は、主治医に確認してください。
入り方の基本や時間の目安は、『サウナの入り方 初心者ガイド|基本の流れ・時間の目安・つまずき対策』にまとめています。
1回の入り方の基本はこちら

サウナの入り方
サウナの入り方 初心者ガイド|基本の流れ・時間の目安・つまずき対策
よくある質問
Q. サウナは週何回がいいですか?
A. 週何回が正解という公的な基準は見当たりません。「週2回」という目安を協会のテキストから引用するサイトはありますが、原本は確認できていません。体調に合わせ、翌日に疲れが残らない範囲で決めるのが編集部のおすすめです。
Q. サウナに毎日入るのは入りすぎですか?
A. 毎日入る人の安全性を調べた資料は、今回の範囲では確認できませんでした。消費者庁が危険な入り方として挙げるのは、我慢して長時間入る、飲酒後に入る、いきなりサウナ室に入る、といった入り方です。毎日か週何回かにかかわらず、疲れや不調のある日は休むことを勧めます。
Q. サウナに多く入るほど長生きできますか?
A. そうとは言えません。フィンランドの研究(2015年)で週4〜7回の男性は週1回の男性よりハザード比が低めでしたが、関連であり、原因とは言えません。中高年男性、平均79℃のフィンランド式での結果です。
Q. 女性でも同じ結果になりますか?
A. わかっていません。男女1,688人の2018年の研究では、女性だけで見ると、頻度と心血管疾患による死亡に統計的に有意な関連は見られませんでした。著者は、亡くなった人の数が少なかったためと説明しています。
Q. 月に1回しか行けないのは少なすぎますか?
A. 少なすぎると線を引く資料も見当たりません。ファンくるの調査(2024年)では、回答者全体の36%が月に1〜2回でした(月1回以上の51%の内訳)。回数にとらわれず、1回ごとの時間を楽しんでください。
まとめ
回数を数えるより、その日の体の声を聞くこと。汗が出たら出て、動悸がしたら出て、疲れた日は休む。湯気の向こうで呼吸がゆっくりになるあの時間を、長く楽しめるペースを探してみてください。
参考文献
- Association Between Sauna Bathing and Fatal Cardiovascular and All-Cause Mortality Events(Laukkanen T, et al. JAMA Intern Med. 2015;175(4):542-548)(JAMA Internal Medicine)
- Sauna bathing is associated with reduced cardiovascular mortality and improves risk prediction in men and women: a prospective cohort study(Laukkanen T, et al. BMC Med. 2018;16:219)(BMC Medicine)
- Saunas not proven to reduce risk of death(2023年4月14日)(Full Fact)
- サウナ浴での事故に注意 ― 体調に合わせて無理せず安全に ―(2024年6月5日。早坂信哉教授による注意事項を含む)(消費者庁)
- サウナの利用頻度についての消費者調査(2024年11月1日発表。調査は2024年7月)(株式会社ファンくる(Digital PR Platform))
- サウナ一回当たりの入室時間は? 入浴料の月平均などauコマース&ライフが調査(2022年3月2日。調査の年は記事の日付からの推定)(BCN+R)


